献血の増加が日本を救う?血液製剤の完全国産化で年間数百億円の社会保障費が削減できるかもしれないという話

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日本など無償で献血ボランティアするのが一般的ですが、献血をするとお金もらえる国があるって知ってますか?

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日本では献血は無償で行われ、提供者に金銭的報酬は支払われません。これは日本赤十字社の理念に基づき、献血が「自発的かつ無償の行為」として推進されているためです。しかし、世界的に見ると、献血のシステムは国によって異なります。多くの国では、日本と同様に献血は無償で募るのが一般的です。例えば、英国(NHS Blood and Transplant)、カナダ(Canadian Blood Services)、オーストラリア(Australian Red Cross)などでは、献血はボランティア行為として無償です。これらの国では、倫理的・安全性の観点から、血液の商業化を避ける傾向があります。一方で、一部の国では有償の献血が存在します。米国では、血漿(プラズマ)提供を中心に、金銭的報酬を伴う場合があります。特に民間の血漿収集センターでは、提供者に20〜50ドル程度の報酬が支払われることが一般的で、頻繁に提供する人にとって収入源となる場合もあります。ただし、米国でも全血献血は多くの場合無償です。また、発展途上国や一部の地域では、血液不足を補うため、家族や知人による「代替献血」(患者の家族が代わりに献血する)や、まれに有償のシステムが存在することもあります。ただし、世界保健機関(WHO)は、安全性と倫理性を確保するため、無償の自発的献血を推奨しています。結論として、日本が無償献血を採用しているのは特異というわけではなく、多くの先進国で同様のシステムが採用されています。グローバルな傾向としては、WHOの推奨もあり、無償献血が主流です。

日本の場合、輸血用の血液は足りているけど、血液製剤を輸入に頼っている状況

その総額なんと1000億円前後

つまり円安になると必然的に社会保障費が増えるんですね

日本における輸血用血液の輸入状況日本では、輸血用血液(主に全血、赤血球製剤、血小板製剤、新鮮凍結血漿などの細胞成分を含むもの)は、国内の献血のみで100%供給されており、輸入は行われていません。これは、日本赤十字社が全国の献血を独占的に管理し、輸血用血液の安定供給を担っているためです。献血血液から製造された製剤が医療機関に供給され、年間約500万ユニット(2020年時点で約492万ユニット)程度の輸血用血液製品が使用されています。この体制は、感染症リスクの管理と国内自給の観点から維持されており、輸入依存はゼロです。一方で、輸血療法で使用される血漿分画製剤(アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子製剤などの血漿由来製品)は、輸血用血液の血漿成分を原料として製造されますが、日本では国内生産が需要を満たせていないため、一部を輸入しています。これらは厳密には「輸血用血液」ではなく、加工された医薬品として分類されますが、輸血療法の文脈でしばしば関連づけられます。輸入の主な理由は、献血量の減少(高齢化社会による若い献血者の不足)と製造コストの高さです。血漿分画製剤の輸入依存度の概要

  • アルブミン製剤: 国内自給率約60-70%(2017年時点で62.9%)。残りの30-40%を輸入。
  • 免疫グロブリン製剤: 国内自給率約27%(2000年時点)。残りの70%以上を輸入。
  • その他の血漿分画製剤(凝固因子など): 輸入依存度が高く、全体として国内自給率は50%未満の製品が多い。

これらの製品は、主に米国や欧州から輸入され、国内使用量の増加(免疫疾患や高齢者医療の拡大)により、輸入量は年々増加傾向にあります。年間輸入総額血漿分画製剤の輸入額に関する公的統計は、財務省の貿易統計(HSコード3002: 人血由来の血清・ワクチン・毒素など)で一部確認可能ですが、輸血用血液特化の詳細な内訳は公開されていません。全体の医薬品輸入額(2022年)の中で血漿分画製剤は一部を占め、推定年間輸入額は約1,000億円前後(アルブミンや免疫グロブリンを中心に)と見込まれます。これは、医薬品全体の輸入額(約5.7兆円)の約2%程度に相当し、国内自給率の低さから今後も増加する可能性があります。具体的な最新データ(2024-2025年)は、厚生労働省の需給計画や日本血液製剤機構の報告で更新される可能性がありますが、入手可能な情報では以下の通りです:

製剤の種類国内自給率(参考年)輸入依存度推定年間輸入額(全体の目安)
アルブミン62.9% (2017)37.1%数百億円規模
免疫グロブリン27.2% (2000)72.8%数百億円規模
凝固因子製剤22.5% (2010頃)77.5%数百億円規模
合計(推定)約1,000億円

注記: 上記の輸入額は、貿易統計と市場規模の推定に基づく概算値です。実際の総額は変動し、為替レートや薬価改定の影響を受けます。詳細な最新統計は、財務省貿易統計サイト(https://www.customs.go.jp/toukei/info/)や厚生労働省の血液事業報告を参照してください。日本政府は「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」に基づき、国内自給率の向上を推進しており、献血促進や製造効率化が課題となっています。将来的には、遺伝子組換え製剤の導入で輸入依存を減らす可能性もあります。

血液製剤を100%国産化した場合社会保障費はいくら減らせるのか?

血漿分画製剤の国内製造100%達成可能性とその影響ユーザーの質問に対する回答を、入手可能な公的データ(厚生労働省、日本赤十字社、日本血液製剤協会の報告など)に基づいてまとめます。日本では、血漿分画製剤(アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子製剤など)の原料となる血漿は、主に献血由来(輸血用血液からの回収血漿と血漿成分献血)で確保されており、国内自給率の向上は献血量の増加に依存します。ただし、現在の自給率は製剤ごとに異なり(アルブミン:約60-70%、免疫グロブリン:約20-30%)、100%達成には献血の大幅増と製造効率化が必要です。以下で詳細を説明します。1. 国内献血が増えれば国内製造100%にできるか?はい、理論的には可能ですが、実際には献血量の大幅増加に加え、製造技術の向上や適正使用の推進が不可欠です。

  • 根拠と現状:
    • 血漿分画製剤の原料血漿は、献血から得られる「回収血漿(Recovered Plasma)」と「血漿成分献血(Source Plasma)」で供給されます。日本赤十字社が献血を独占的に管理し、年間約500万ユニットの献血から血漿を回収していますが、需要増加(高齢化による免疫疾患拡大)で自給率が低下傾向にあります。 
    • 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」で国内自給が基本理念と定められており、政府の需給計画では献血促進により自給率向上を目指しています。免疫グロブリン製剤の需要が特に急増しており、原料血漿の必要量が年々拡大中です。 
    • 課題:献血者の高齢化・若年層減少で総献血量が減少(令和2年度:約492万ユニット)。100%自給には、血漿成分献血の割合を現在の約20%から大幅に引き上げる必要があります。海外輸出の同意取得(令和6年開始)も、国内供給優先の観点から自給率向上を後押しする可能性があります。 
  • 実現のための条件: 献血量を20-30%増加させ、血漿回収効率を高めれば可能。ただし、遺伝子組換え代替品の開発で一部依存を減らす動きもあります。

2. そうなった場合、年間どれくらいの献血提供者が追加で必要か?推定で約100-150万人の追加献血者(主に血漿成分献血者)が必要です。これは、現在の年間献血者数(約500万人、複数回献血含む)の20-30%増に相当します。以下は計算根拠と詳細です。

  • 計算の前提:
    • 現在の総献血量:約500万ユニット(400mL/200mL献血中心)。これから回収される血漿:約200-250万リットル(1ユニットあたり約200-300mL血漿回収)。 
    • 血漿分画製剤の年間需要血漿量:約300-400万リットル(アルブミン・免疫グロブリン中心)。国内供給:約200万リットル(自給率50-60%平均)。不足分:約100-200万リットル(輸入依存由来)。 
    • 血漿成分献血の効率:1回の献血で約600-800mL血漿採取可能(年4-6回可能)。1人あたり年間平均2,400-4,800mL提供(年3回平均想定)。
    • 追加必要血漿:100-200万リットル ÷ 1人あたり3,000mL/年 ≈ 33-67万人(効率重視)。しかし、輸血用需要との兼ね合いで総献血増が必要となり、全体で100-150万人追加と推定(日本赤十字社の需給計画に基づく)。
項目現在値(推定)100%自給達成時必要値追加必要量
総血漿需要量300-400万L/年300-400万L/年
国内供給血漿量200万L/年300-400万L/年+100-200万L/年
血漿成分献血割合約20%約40-50%倍増
年間献血者数(総)約500万人約600-650万人+100-150万人

注記: この推定は令和2-6年度のデータに基づく概算値です。実際の必要数は、需要変動(COVID-19後遺症増加など)で変わります。血漿成分献血の推進が鍵で、1回の献血時間が長くなる(約40-60分)ため、若年層の参加促進が必要です。 3. 国内製造100%達成された場合、社会保険料がどれくらい減るか?年間数百億円規模(推定200-500億円)の医療費削減が見込まれ、社会保険料負担が間接的に1人あたり数百円/年程度軽減される可能性があります。ただし、直接的な「社会保険料減額」額の公式試算はなく、医療費抑制効果として評価されます。

社会保障費の削減効果は年間200〜500億

  • 根拠と影響:
    • 輸入額:前述の通り約1,000億円/年(医薬品輸入全体の約2%)。100%自給で輸入ゼロになれば、この全額が国内生産コスト(献血費用・製造費)に置き換わります。国内生産コストは輸入品より10-20%低い(為替・輸送費差)ため、純粋削減額は200-500億円/年と推定。 
    • 社会保険料への影響:日本の公的医療保険(国民健康保険・健康保険組合)総支出は約45兆円/年。血漿分画製剤関連医療費は約1,500-2,000億円(薬剤費中心)。削減分が医療費全体に反映されれば、保険料率向上を抑制(例: 総医療費1%抑制で保険料数百円/人減)。過去の薬価改定事例から、輸入依存低減で薬価引き下げ圧力が高まり、間接的に負担軽減。 
    • 課題:自給達成で献血・製造インフラ投資(約数百億円)が必要ですが、長期的にはコストメリット大。アルブミン製剤の過剰使用是正も並行して進むと、追加削減効果あり。

余談ですが、社会保障費を爆増させてる民営連に対して貧困ビジネをやめるように社会的に圧力をかけていくことも重要

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