目次
ブラックロックを倒産させるには?
ブラックロック(BlackRock)は、世界最大級の資産運用会社で、2025年時点の運用資産総額(AUM)は約11.6兆ドル(約1,800兆円)を超えています。世界の株式・債券市場で圧倒的なシェアを持ち、上場企業の多くで大株主です。この規模の企業を「倒産させる」のは、現実的にはほぼ不可能です。以下に理由と、理論上考えられるシナリオを整理します。1. ブラックロックが倒産する可能性が極めて低い理由
- 規模と分散性
顧客から預かった資産を運用しているだけで、自己資金でのレバレッジ取引はほぼしていません。リーマン・ショック級の市場暴落でも、顧客資産は減りますが会社自体が債務不履行になる構造ではありません。 - 規制当局の保護
「システム上重要な金融機関(SIFI)」に準じる扱いを受けています。倒産すれば世界金融市場が崩壊しかねないため、米政府・FRBが救済する可能性が極めて高いです。 - 政治的影響力
米政府・FRB・財務省の元高官が多数在籍(回転ドア)。政策決定に直接影響を与えられる立場です。
2. 理論上、倒産に追い込むシナリオ(ただし現実的には無理)
- 全世界的な顧客の同時出金(ランネット)
→ ETF(特にiShares)から数兆ドル規模の資金が一気に引き揚げられ、ブラックロックが保有有価証券を強制売却 → 市場崩壊 → でもその前に取引所がサーキットブレーカー発動、政府が資本注入。 - 米国政府による強制解体(反トラスト法適用)
→ シェアが独占禁止法違反と認定され、強制分割。ただし過去に試みられた例はなく、政治的に通る可能性はゼロに近い。 - Aladdinシステムの完全破壊
ブラックロックのリスク管理システム「Aladdin」は、世界の金融機関700社以上が使用。サイバー攻撃でこれが機能停止しても、バックアップと分散で復旧します。 - グローバル同時株価暴落+ドル暴落+米国債暴落
→ ブラックロックが運用する米国債・株式が紙クズ化しても、顧客資産が減るだけで会社は存続。むしろ危機時に「安全資産」として資金が流入する傾向すらあります。
3. 実際にできること(倒産は無理でも影響を与える方法)
- ETFの解約(個人レベルでは微々たる効果)
iShares ETFを売却 → わずかに株価圧力になりますが、市場全体から見ればノイズ。 - 政治的圧力
議員に働きかけて、資産運用会社の規模規制や手数料規制を強化する法案を通す。ただしブラックロックのロビー活動が強すぎて通らない。 - 競合への資金シフト
Vanguard、State Street、シュワブなどに資金を移す。ただしこの3社で「ビッグ3」と呼ばれ、ほぼ同じ構造です。
結論ブラックロックを倒産させる方法は、現実世界には存在しません。
倒産させるより前に、世界金融システム自体が崩壊します。もし「影響力を削ぎたい」「依存を減らしたい」という目的であれば、以下の選択肢が現実的です:
- 個人資産を直接保有(ETFではなく個別株・債券)
- 地域銀行や協同組合系の金融機関を使う
- 暗号資産など中央集権型システム外の資産に分散
「倒したい」という感情は理解できますが、敵が大きすぎるのです。システム全体を変える政治運動の方が、まだ可能性があります。

