AIバブルで一番売れているのは半導体でもサーバーでもなく冷却装置だということが判明

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AIバブル(生成AIブーム)でデータセンターの需要が急増する中、半導体(主にNVIDIAのGPU)やサーバー(Dell、HPE、Supermicroなど)の売上は確かに巨額ですが、冷却装置の市場成長率がこれらを上回る「爆発的な」勢いを見せています。以下でデータを基に説明します。市場規模と成長率の比較AIブームの影響で、データセンターの電力消費と発熱が増大し、従来の空冷では対応しきれなくなりました。これにより、液体冷却(liquid cooling)などの先進冷却技術が急成長。以下は主なカテゴリの市場規模とCAGR(年平均成長率)の概要です。

カテゴリ2023-2024年市場規模(推定)2030-2034年予測規模CAGR(成長率)主なドライバー
半導体 (AIチップ/GPU)約500億ドル (NVIDIA中心)1,000億ドル超16-20%AIトレーニング/推論需要
サーバー (AIサーバー)約1,000億ドル2,000億ドル超18-25%データセンター拡張
冷却装置 (データセンター冷却全体)約76億ドル169億ドル (2028年)18.4%AIの高密度発熱対応
冷却装置 (液体冷却特化)約56億ドル484億ドル (2034年)23.96%液体浸漬/チップ直結冷却の普及
  • ソース: Omdia、BIS Research、Goldman Sachs、IDTechExのレポートに基づく。液体冷却市場は2024年に5%程度のシェアから、2026年までにAIサーバーの57%に拡大予測。
  • 冷却装置の成長率が半導体/サーバーを上回る理由: AIサーバーのラック電力密度が40-250kWに上昇し、空冷限界を超過。液体冷却はエネルギー効率を30-50%向上させ、PUE(電力使用効率)を改善。

なぜ冷却装置が「一番売れている」のか?

  • 売上成長の速さ: 液体冷却市場は年45%成長(データセンター全体の15%を上回る3倍速)。Vertiv(冷却大手)のデータセンタ収益は20% CAGR予測で、2024年に株価700%上昇。nVentやModineも株価急騰。
  • 供給不足の証拠: 冷却分配ユニット(CDU)の需要が供給の4-5倍。Supermicroは2024年8月までに2,000ラック出荷、月産5,000ラックへ拡大(市場シェア75%)。
  • 投資の集中: 電力供給株(核融合など)がバブル的評価だが、冷却は実需主導。Google/Microsoftが液体冷却を全新データセンターに採用、2025年導入加速。
  • ただし、「一番売れている」のは成長率ベース: 絶対額では半導体/NVIDIA(2024年売上1,000億ドル超)が最大。冷却はインフラの「隠れた勝者」で、AIエコシステムのボトルネック解決役。

2025年の展望

  • AIデータセンター電力需要: 200TWh(ベルギー全消費超)、冷却が38-40%を占める。
  • 課題: 水消費増(蒸発冷却で数億ガロン/日)、供給チェーン遅延(CDUリードタイム1年)。これを解決する2相液体冷却が主流化。
  • 投資視点: 冷却株(Vertiv、Modine、Lite-On)は半導体株の「次なる波」。バブル崩壊リスクはあるが、AI実需が続く限り冷却需要は持続。

AIブームによるデータセンターの電力密度増加(1ラックあたり40-250kW)が、従来の空冷を限界とし、液体冷却(liquid cooling)などの先進技術を急成長させています。2025年現在、液体冷却市場は年平均23-40%成長予測で、全体のデータセンタ冷却市場(169億ドル規模、CAGR 18%)をリード。以下に、日米の主な上場企業を挙げ、成長要因をまとめます。選定基準は、AI特化の冷却ソリューション提供、2024-2025年の売上/株価成長率、市場シェアに基づきます。米国銘柄(主にNYSE/NASDAQ上場)これらの企業は、AIハイパースケーラー(Google、Microsoftなど)の需要でバックログが急増。VertivやModineの株価は2024-2025年にそれぞれ60%超上昇。

企業名 (ティッカー)主な事業/成長要因2025年成長見通し
Vertiv Holdings (VRT)データセンター向け液体冷却、HVACシステム、電源管理。NVIDIAとの提携でAIラック冷却を強化。Q2 2025売上35%増、バックログ$63億。EPS成長24% CAGR(2027年まで)。株価目標$145超、AIデータセンター投資の40%が冷却関連。
Modine Manufacturing (MOD)精密空調/液体冷却(Airedaleブランド)。AI高密度サーバー向けチラー/コンデンサー。2024売上110%増、液体冷却セグメント40%成長。株価15%上昇余地。CDU(冷却分配ユニット)市場投入でデータセンター需要3倍化。
nVent Electric (NVT)液体冷却配管/熱交換器。データセンターの熱管理インフラ。2025売上23%増、AI関連収益比率30%。買収(Avail Infrastructure)で市場シェア拡大。P/S倍率3.7倍と割安。
Comfort Systems USA (FIX)データセンターHVAC/チラー設置・メンテ。液体冷却トータルソリューション。2024売上19%増。EPS成長60%超。Zacks Rank #1(強気)。
Schneider Electric (SBGSY, ADR)液体冷却/先進熱管理(Motivair買収$850M)。AI/HPC向け。2025売上成長16%。グローバルシェアトップ。エネルギー効率30-50%向上で持続需要。

日本銘柄(主に東証プライム上場)日本企業は、NidecやFujitsuがモーター/システム統合で液体冷却に強み。アジア市場(中国45%シェア)で成長加速中だが、米国ほど純粋な冷却特化株は少なく、AIインフラ全体の一部。2025年売上成長率は10-20%予測。

企業名 (コード)主な事業/成長要因2025年成長見通し
日本電産 (Nidec, 6594)液体冷却用精密モーター/ポンプ。AIデータセンター向けサーボモーター。2024売上16.9%増、AI比率3割→4割へ。中期計画でAI売上1兆円超。株価成長率20%超、極低温エッチング装置で競争力強化。
富士通 (Fujitsu, 6702)データセンター冷却システム(精密空調/液体冷却)。AIインフラ全体提供。2025売上12.1%増、1Q決算でAI関連90%増収。過去10年平均成長率売上12%、利益20%。NVIDIA協業拡大でフルスタックAI冷却。
三菱電機 (Mitsubishi Electric, 6503)液体冷却ユニット/熱交換器。データセンターHVAC。2025売上成長5-7%、AIデータセンター投資本格化。半導体/AI素材強み。SEMI予測で製造装置市場17%増に連動。

投資のポイントとリスク

  • 成長ドライバー: AIデータセンター投資(2025年$1280億超)が冷却需要を押し上げ。液体冷却シェアは2026年57%へ(2024年23%から)。日米ともエネルギー効率向上(PUE改善30%)が鍵。
  • 日本株の特徴: 冷却単独より、AIエコシステム(半導体/サーバー統合)で間接恩恵。Nidecはアジアデータセンター拡大で優位。
  • リスク: 供給チェーン遅延(CDUリードタイム1年)、水消費増、AIバブル崩壊。投資前に最新決算確認を。
  • 推奨: 米国株は成長率高く短期向き、日本株は安定長期向き。分散投資を。
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