AIバブルで注目のデータセンター、米国で環境汚染が問題になり始める

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米国のデータセンター建設ラッシュで環境問題が深刻化

米国ではデータセンターの建設が急増する中、環境問題が原因でいくつかのプロジェクトが地元住民の反対や法廷闘争、承認の遅延・中止に発展しています。特に、電力消費の増加、水資源の枯渇、騒音、温室効果ガス排出、歴史的・文化的景観の損失などが主な懸念点です。AIやクラウド需要の拡大により、2024年から2025年にかけてこうした事例が目立っています。以下に、主な事例を挙げて説明します。情報は最近の報告に基づいています。1. バージニア州(Virginia)の事例

  • 背景: バージニア州は全米でデータセンターの約半分が集中する「データセンター・アレー(Data Center Alley)」として知られ、経済効果が高い一方で、環境負荷が深刻化。建設による電力網の負担、温室効果ガス排出、水使用、騒音が問題視されています。2024年のデータセンター排出量は全米排出の約2%(1億500万トン相当)に上り、化石燃料依存が気候変動を悪化させるとの指摘があります。 
  • 具体的なプロジェクト:
    • PW Digital Gatewayプロジェクト(Prince William County): QTS Realty Trust主導の巨大プロジェクト(総額数十億ドル)。地元住民と環境団体が、騒音、電力網の過負荷、歴史的遺産(Manassas国立戦場公園近く)の損失を理由に訴訟を起こしました。2024年10月に裁判所がゾーニング承認を支持しましたが、原告がバージニア州控訴裁判所に上訴。2025年3月時点で未解決で、建設が遅延中です。 
    • HaymarketのVillage Place Data Center: 住宅地近くの建設で、騒音と水消費が問題に。2025年2月時点で、住民の反対が続き、税制優遇の見直しを求める声が高まっています。バージニア州全体で、データセンターによる税収は2024年に3億ドル近く増加しましたが、住民は「環境コストが上回る」と主張。 
  • 全体の影響: バージニアでは、データセンターの電力消費が州の電力需要の20%超を占め、再生可能エネルギー移行の遅れが環境問題を助長。地元自治体は税制優遇を再検討中です。 

2. アリゾナ州(Arizona)の事例

  • 背景: 乾燥地帯特有の水資源不足が焦点。データセンターの冷却システムが大量の水を消費(1施設あたり年間数百万ガロン)し、気候変動による干ばつを悪化させる懸念があります。 
  • 具体的なプロジェクト:
    • Tract社のBuckeye/Goodyearプロジェクト(総額140億ドル): 2024年5月、地元住民の環境団体が水使用、騒音、土地利用の変化を理由に反対運動を展開。ゾーニング変更を阻止し、会社は計画を撤回。8月には空港近くで修正版を提案し、地元当局の支持を得ましたが、環境審査が厳しく、遅延が発生。住民は「水不足の砂漠地帯に不適切」と主張しています。 
  • 全体の影響: アリゾナでは、データセンターの水消費が農業や住民生活に影響を与え、州政府が水使用規制を強化する動きがあります。

3. ミズーリ州(Missouri)の事例

  • 背景: 電力網の負担と環境影響が主な争点。データセンターの建設が地方の電力供給を圧迫し、住民の電気料金上昇を招く可能性があります。 
  • 具体的なプロジェクト:
    • Peculiar市のデータセンタープロジェクト: 2024年10月、地元住民の反対により、ゾーニング条例が改正され、データセンターの建設が全面禁止に。騒音、GHG排出、電力網の歪曲が理由で、計画が完全にブロックされました。 
  • 全体の影響: 小規模自治体で住民の声が強く、開発業者が撤退するケースが増えています。

4. その他の事例と全国的なトレンド

  • Powhatan County(バージニア州): Province Groupのプロジェクトが2024年10月に3-2の僅差で承認されましたが、騒音、交通、環境影響の反対が続き、新たな変電所建設でさらなる争いが予想されます。2025年3月時点で遅延中。 
  • Santa Clara(カリフォルニア州): GI Partnersのプロジェクトが2024年8月に承認されましたが、5ヶ月の遅延。コミュニティの環境懸念(水・エネルギー使用)が原因です。 
  • 全国トレンド: 2024-2025年にかけ、640億ドル以上のプロジェクトが地元反対でブロックまたは遅延。主な懸念は電力インフラのボトルネック(化石燃料依存による排出増加)、水・エネルギー資源の枯渇、建設時のCO2排出(Scope 3排出が実際の662%多いとの報告)。 連邦政府は2025年7月にデータセンターの環境審査を迅速化する大統領令を出しましたが、州・地元レベルでの反対は続いています。 
  • 経済 vs. 環境のジレンマ: データセンターは税収や雇用を生みますが(例: バージニアで310億ドルの経済効果)、住民は「持続不可能」と批判。S&P Globalの分析では、電力消費の急増が脱炭素目標を脅かすと指摘されています。 

問題は日本でも起こり始めている

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