ドイツで徴兵制復活
ドイツでの徴兵制(Wehrpflicht)の復活に関する議論とその経緯は、近年、特にロシアによるウクライナ侵攻(2022年2月24日開始)を背景に活発化しています。以下に、徴兵制復活の経緯とその背景、現在の状況について簡潔にまとめます。 ### 1. **徴兵制の歴史と2011年の停止** – **導入の背景**: ドイツでは、1956年に一般徴兵制が導入され、18歳以上の男性が原則として軍務に就く義務がありました。これは冷戦期の安全保障環境下で、NATO加盟国として西側陣営の防衛力を強化する目的でした。[](https://www.bpb.de/kurz-knapp/hintergrund-aktuell/550475/wie-funktioniert-die-wehrpflicht/) – **2011年の停止**: 2011年、ドイツは徴兵制を停止(廃止ではなく「一時停止」)しました。これは冷戦の終結や財政難、そして安全保障環境の変化(テロ対策や遠征任務へのシフト)により、職業軍人を中心とするプロフェッショナルな軍隊への転換が求められたためです。停止の決定は、当時の国防相カール・テオドール・ツー・グッテンベルク(CSU)のもとで行われ、徴兵制は「平和時」において適用されないことになりました。ただし、ドイツ基本法(憲法)第12a条に基づき、緊張状態(Spannungsfall)や国防事態(Verteidigungsfall)では徴兵制が自動的に復活する仕組みは残っています。[](https://www1.wdr.de/nachrichten/deutschland-wehrpflicht-100.html)[](https://rsw.beck.de/aktuell/daily/magazin/detail/interview_njw_2024_12_wiedereinfuehrung-der-wehrpflicht—aber-wie) ### 2. **復活議論の契機** – **ロシアのウクライナ侵攻(2022年)**: ロシアによるウクライナへの大規模侵攻は、欧州の安全保障環境を一変させました。ドイツでは、ショルツ首相が「時代転換(Zeitenwende)」を宣言し、軍備強化の必要性を強調。ロシアの軍事的脅威が高まる中、ドイツの防衛力不足が問題視されるようになりました。特に、連邦軍(Bundeswehr)の人員不足(2023年時点で約181,000人、目標203,000人)と装備の老朽化が顕著でした。[](https://www.br.de/nachrichten/deutschland-welt/moegliche-rueckkehr-zur-wehrpflicht-die-wichtigsten-antworten%2CUCAQvad)[](https://www.dw.com/de/bundeswehr-kommt-die-wehrpflicht-wieder/a-68350912)[](https://www.tagesschau.de/inland/innenpolitik/wehrpflicht-muetzenich-100.html) – **NATOの要求と防衛力強化**: ドイツはNATO加盟国として、集団防衛の責任を果たす必要があり、2029年頃にロシアがNATO加盟国を攻撃する可能性を指摘する声も上がっています(国防相ピストリウス)。このため、連邦軍の即応性と予備役の強化が急務とされました。[](https://www1.wdr.de/nachrichten/deutschland-wehrpflicht-100.html)[](https://www.deutschlandfunk.de/wehrpflicht-debatte-bundeswehr-100.html) – **世論の変化**: 2024年のNDRの調査では、66%が徴兵制復活を支持。特に、ウクライナ戦争による脅威認識の高まりや、若者に規律や責任感を養う機会としての価値が強調されています。ただし、若年層(30歳未満)では反対意見も多く、個人自由への介入への懸念も存在します。[](https://www.ndr.de/ndrfragt/Umfrage-zur-Bundeswehr-Mehrheit-will-die-Wehrpflicht-zurueck%2Cwehrpflicht186.html) ### 3. **現在の提案と進展** – **ピストリウスの新モデル(2024年6月)**: 国防相ボリス・ピストリウス(SPD)は、従来の徴兵制復活ではなく、選択的なモデルを提案しました。これはスウェーデン式モデルを参考にしたもので、以下のような特徴があります: – **義務的登録**: 18歳の男性は全員、軍務への適性や意欲を問う質問票の提出を義務付けられます。女性は任意で参加可能。 – **選抜と訓練**: 回答をもとに、適性とモチベーションが高い者を選抜し、約5,000人を対象に基礎軍事訓練を実施。初期段階では強制的な徴兵ではなく、志願ベースを重視。 – **インフラの課題**: 2011年の徴兵制停止に伴い、徴兵管理のための行政機関(Kreiswehrersatzämter)が解体されており、復活には新たなインフラ構築が必要です。ピストリウスは2025年からの段階的導入を目指しています。[](https://www1.wdr.de/nachrichten/deutschland-wehrpflicht-100.html)[](https://www.deutschlandfunk.de/wehrpflicht-debatte-bundeswehr-100.html) – **政治的議論**: – **賛成派**: CDU/CSUは段階的な徴兵制復活や「義務的奉仕年(Gesellschaftsjahr)」を提案し、軍務か社会奉仕を選択可能とする案を支持。連邦軍協会や予備役協会も、予備役強化のため徴兵制の必要性を主張。[](https://www.br.de/nachrichten/deutschland-welt/moegliche-rueckkehr-zur-wehrpflicht-die-wichtigsten-antworten%2CUCAQvad)[](https://www.deutschlandfunk.de/wehrpflicht-debatte-bundeswehr-100.html) – **反対派**: SPDの一部(ショルツ首相やミュッツェニヒ議員)、緑の党、FDPは、徴兵制復活に懐疑的で、職業軍の強化や志願制の拡充を重視。女性の義務化には基本法改正が必要な点も議論の障害。[](https://www.deutschlandfunk.de/wehrpflicht-debatte-bundeswehr-100.html)[](https://www.tagesschau.de/inland/innenpolitik/wehrpflicht-muetzenich-100.html) – **スウェーデンモデルの影響**: スウェーデンは2010年に徴兵制を停止しましたが、2017年に安全保障環境の悪化(ロシアの脅威)を理由に復活。16~70歳の市民を登録し、適性に応じて少数の者を軍務に割り当てる柔軟なシステムがドイツで注目されています。[](https://www.dw.com/de/bundeswehr-kommt-die-wehrpflicht-wieder/a-68350912)[](https://www.tagesschau.de/inland/innenpolitik/wehrpflicht-muetzenich-100.html) ### 4. **徴兵制復活の理由** – **安全保障の危機**: ロシアの軍事力強化とウクライナ戦争により、欧州での全面戦争のリスクが高まったと認識されています。ドイツはNATOの防衛義務を果たすため、即応性の高い軍隊を必要としています。 – **人員不足**: 連邦軍の定員割れが常態化しており、志願兵だけでは目標人数を達成できない状況。 – **社会との結びつき**: 徴兵制は、軍と市民社会の結びつきを強化し、民主的な軍隊を維持する手段とも見なされています。ピストリウスは「かつてはどの家庭にも徴兵経験者がいた」と述べ、社会的結束の重要性を強調。[](https://www.dw.com/de/bundeswehr-kommt-die-wehrpflicht-wieder/a-68350912)[](https://www.deutschlandfunk.de/wehrpflicht-debatte-bundeswehr-100.html) – **教育・規律の価値**: 徴兵制は若者に責任感やチームワークを養う機会とされ、特に保守派や高齢層で支持されています。[](https://www.ndr.de/ndrfragt/Umfrage-zur-Bundeswehr-Mehrheit-will-die-Wehrpflicht-zurueck%2Cwehrpflicht186.html) ### 5. **今後の展望** – **法的枠組み**: 徴兵制の完全復活には、基本法改正(女性の義務化の場合)や新たな法律制定が必要な場合がありますが、現在の「一時停止」状態の解除は単純多数決で可能です。[](https://rsw.beck.de/aktuell/daily/magazin/detail/interview_njw_2024_12_wiedereinfuehrung-der-wehrpflicht—aber-wie) – **インフラ再構築**: 徴兵制を支えるための施設や人員の再整備が必要で、短期間での完全復活は現実的ではありません。ピストリウスの提案は、まず小規模な選抜モデルから始める「第一歩」と位置付けられています。[](https://www1.wdr.de/nachrichten/deutschland-wehrpflicht-100.html)[](https://rsw.beck.de/aktuell/daily/magazin/detail/interview_njw_2024_12_wiedereinfuehrung-der-wehrpflicht—aber-wie) – **欧州の動向**: ドイツ以外の欧州諸国(例:デンマーク、ノルウェー)でも、女性を含む徴兵制の導入や拡大が進んでおり、ドイツの議論にも影響を与えています。 ### まとめ ドイツでの徴兵制復活の議論は、2011年の停止後、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)を契機に本格化しました。安全保障環境の悪化、連邦軍の人員不足、NATOの要求が主な背景です。ピストリウス国防相は、2024年にスウェーデン式の選択的徴兵モデルを提案し、2025年からの段階的導入を目指していますが、完全な徴兵制復活には政治的・インフラ的課題が残ります。世論は賛否両論で、特に若年層の抵抗感や女性の義務化を巡る議論が今後の焦点です。 **出典**:[](https://www.bpb.de/kurz-knapp/hintergrund-aktuell/550475/wie-funktioniert-die-wehrpflicht/)[](https://www.br.de/nachrichten/deutschland-welt/moegliche-rueckkehr-zur-wehrpflicht-die-wichtigsten-antworten%2CUCAQvad)[](https://www1.wdr.de/nachrichten/deutschland-wehrpflicht-100.html)
日本では徴兵制導入を目指してる参政党が躍進
参政党が徴兵制導入を目指しているという主張は、主に同党の候補者であるさや氏(参院選2025東京選挙区候補)の過去の発言や、参政党の「創憲」プロジェクトによる新憲法構想案を巡る議論に基づいています。以下に、経緯や背景、現在の状況を簡潔にまとめます。 ### 1. **さや氏の発言と議論の発端** – **2023年の発言**: さや氏が2023年7月、YouTube番組「皇統を守る会チャンネル」の「三姉妹燦DAY!」に出演した際、徴兵制について言及。「徴兵制が担ってきた教育的な役割」を強調し、「学校教育では教えられないこと、兵役の中で体験できることがある」「日本であれば『益荒男(ますらお)』の精神を体感できる」と述べ、兵役を「滅私奉公」と位置付けました。一定期間の兵役を経て成人と認める制度が「社会の成熟」に寄与するとも主張。ただし、「早急な復活」には否定的な見解を示しました。[](https://www.asahi.com/articles/AST7K3VNYT7KUTFK01KM.html)[](https://news.yahoo.co.jp/articles/d4c09baee2b5228f8672e0c0cb94ee071345a90f) – **SNSでの反響**: この発言が2025年参院選を前にSNS(特にX)で拡散され、批判が集中。「参政党に投票すれば子や孫が徴兵される」といった投稿が広がり、徴兵制推進のイメージが強まりました。 ### 2. **参政党の公式見解と神谷代表の反論** – **神谷宗幣代表の対応**: 2025年7月17日、さや氏の発言に対する批判に対し、神谷代表はXで「党の政策に【徴兵制】など入っていません」と反論。さや氏の発言は参政党入党前の個人的見解であり、党の公式政策ではないと強調しました。また、神谷氏は「即席で集めた若者で部隊を作るのは現代の戦闘形態に合わない」とし、徴兵制よりもAIやドローンを活用した「最強のドローン部隊」の創設を提案。代わりに「徴農制」(地方での一次産業体験による国土保全意識の育成)を個人的に支持すると述べました。[](https://news.yahoo.co.jp/articles/6c4796c4d5945859aa2903168809f4a9492ca8c4)[](https://www.asahi.com/articles/AST7K3VNYT7KUTFK01KM.html)[](https://news.yahoo.co.jp/articles/6c4796c4d5945859aa2903168809f4a9492ca8c4) – **公式政策の確認**: 参政党の公式サイトに掲載されている国防政策には、徴兵制に関する明確な言及はありません。代わりに「時代に即した21世紀型の防衛戦略や危機管理体制の構築」を掲げており、経済戦や情報戦への対応を重視する姿勢が見られます。[](https://sanseito.jp/political_measures_2025/specific_policies/)[](https://news.yahoo.co.jp/articles/6c4796c4d5945859aa2903168809f4a9492ca8c4) ### 3. **新憲法構想案と徴兵制の可能性** – **創憲プロジェクト**: 参政党は現行憲法の改正ではなく、国民が一から作り直す「創憲」を提唱し、2025年5月に新憲法構想案を発表。この案の第五条第2項には「国民は、子孫のために日本を守る義務を負う」と記載されており、注釈で「国まもりの参加協力の努力義務」と解釈されています。この曖昧な表現が、徴兵制を導入可能な余地を残していると批判されています。[](https://www.tokyo-np.co.jp/article/422049)[](https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11316725556) – **専門家の指摘**: 弁護士の児玉晃一氏は、構想案に「戦争放棄(現行憲法9条)」や「基本的人権の保障」に関する条文がなく、「自衛のための軍隊保持」が明記されている点を問題視。第五条の「日本を守る義務」が徴兵制を想定している可能性があると指摘し、「国民を国防に参加させる仕組み」と解釈され得るとしています。また、選挙での棄権を制限する可能性(第十三条「国民は政治に参加する権利を有し、義務を負う」)も、徴兵制と結びつけて懸念されています。[](https://www.tokyo-np.co.jp/article/422049)[](https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11316725556) – **曖昧さへの批判**: 構想案の条文が簡潔すぎる(33条のみ、現行憲法は99条)ため、解釈次第で徴兵制や国家主導の強制が導入されやすいとの指摘があります。専門家は「憲法は明確な言葉で書くべき」とし、現状の案は「素人の雑文」と評価しています。[](https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11316725556) ### 4. **日本における徴兵制の法的背景** – **現行憲法との関係**: 日本国憲法第18条(「奴隷的拘束及び苦役からの自由」)に基づき、歴代政府は徴兵制を「本人の意思に反する兵役の強制」として憲法違反と解釈。防衛省も「徴兵制は合憲になる余地がない」とし、ハイテク装備を扱う自衛隊には短期間の徴兵制が不向きとしています。参政党の構想案では9条が撤廃されており、徴兵制導入の法的障壁が低くなる可能性が議論されています。[](http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2016/html/nc022000.html) – **貧困徴兵の懸念**: 直接的な徴兵制の導入は難しいものの、経済的困窮者を対象とした「貧困徴兵」(米国で見られる志願制の事実上の強制)が将来的に問題視される可能性も指摘されています。[](https://www.psaj.org/100points49/) ### 5. **世論と政治的影響** – **SNSの反応**: X上では、さや氏の発言や創憲案を理由に「参政党=徴兵制推進」との批判が強く、特に若者や反戦意識の高い層から反発が目立ちます。「参政党に騙されるな」といったハッシュタグが拡散し、無党派層の支持離れが懸念されています。 – **参政党のスタンス**: 参政党は、演説では賃金アップや伝統文化の保護を強調する一方、徴兵制や核武装といった過激な議論を公式には控え、曖昧な表現で有権者の幅広い支持を狙っているとされます。しかし、さや氏の発言や創憲案が「本音」を露呈したとの見方も強く、選挙戦での明確な説明が求められています。[](https://www.tokyo-np.co.jp/article/422049)[](https://www.asahi.com/articles/AST7K3VNYT7KUTFK01KM.html) ### 6. **まとめと今後の展望** 参政党が徴兵制導入を公式政策として掲げている証拠は現時点でなく、さや氏の発言は入党前の個人的見解とされています。しかし、新憲法構想案の「国民の国防義務」や「軍隊保持」の条文が、徴兵制導入の余地を残していると解釈され、批判を招いています。神谷代表は徴兵制を否定し、現代戦に適した防衛戦略(ドローン部隊など)を主張していますが、党の曖昧な表現や候補者の発言が誤解を招き、SNSで議論が過熱しています。 日本では憲法上の制約や自衛隊の専門性から、徴兵制復活は現実的でないとされますが、参政党の構想案が実現した場合、法的枠組みの変更で可能性が生じる懸念があります。有権者は、党の国防政策や憲法観を慎重に検討する必要があります。 **出典**: – 参政党公式サイト(政策・創憲案)[](https://sanseito.jp/new_japanese_constitution/)[](https://sanseito.jp/political_measures_2025/specific_policies/) – 朝日新聞、Yahoo!ニュース(さや氏の発言と神谷代表の反論)[](https://news.yahoo.co.jp/articles/6c4796c4d5945859aa2903168809f4a9492ca8c4)[](https://www.asahi.com/articles/AST7K3VNYT7KUTFK01KM.html)[](https://news.yahoo.co.jp/articles/d4c09baee2b5228f8672e0c0cb94ee071345a90f) – 東京新聞(児玉弁護士の憲法構想案分析)[](https://www.tokyo-np.co.jp/article/422049) – Yahoo!知恵袋(徴兵制と国民主権に関する議論)[](https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11316725556) – 防衛省・自衛隊(徴兵制の法的見解)[](http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2016/html/nc022000.html) – X投稿(世論の反応)
みんな大嫌いな小西がいいこと言ってたのでご紹介