犯人は名車界隈で有名な和久井学さん
ここで注目されたのがいただきりりちゃんのマニュアルの完成度の高さ
「パパ活」をする女性に、巧妙に嘘をついて金銭を騙し取る方法を書いたマニュアルを販売したとして、自称風俗店店員の渡辺真衣容疑者(25)が詐欺幇助の疑いで逮捕された。渡辺容疑者はSNSで活動する際は、「頂き女子りりちゃん」と名乗っていた。
「頂き女子」とは「男性からお金を頂く女子」という意味で、渡辺容疑者の作った造語である。「頂き」とは風俗店に在籍する女の子が、お店を通さずにお客さんからお金を受け取る行為「裏引き」を言い換えたものである。
私はこの渡辺容疑者が有料noteで販売していたマニュアルのひとつを持っていたのでこの機会に詳しく読み直してみたのだが、あらためてその詳細さに驚いた。
このマニュアルは「元限界風俗嬢」で「元限界ホス狂い」だった渡辺容疑者が、「頂き女子を極めたおかげで、毎日ホストに通いながら毎月平均200万円を担当に貢献することができた」方法として販売されていた。
購入を勧める売り文句には、「このマニュアルを読んで実践することのメリット」が明示されている。「おぢ」はお金をもらう男性を意味している。
毎⽉平均少額で3~30⾼額で100万から300万(それ以上も)まで
おぢから「助けるよ」と⾔われてお⾦を頂けるようになる
おぢとの信頼関係の作り⽅を取得できます
・おぢからお⾦を頂くだけで⽣計を⽴てられるようになる
・お⾦を頂くことで⾃分の使いたい事にお⾦を使えるようになる
・ホスト、整形、⽣活費、借⾦、ブランド物、美容
全て頂き⼥⼦を極める事で解決できます
よくある情報商材の導入のようだが、ある意味で“良心的”だと感じたのは「何をするのか」が明確になっている点だ。
例えば「人生が変わる! 収入100倍増加マニュアル」という情報商材があったとしても、ほとんどの場合、具体的に何をするのか、何をすれば収入が増加するのか、ということは明かされておらず、導入ページで読者の不安を煽り「このマニュアルがあれば、あなたの不安は解決する」と購入を促すのが普通だ。しかし渡辺容疑者は「頂き女子のやり方」と明示してこのマニュアルを販売していた。
渡辺容疑者は「頂き女子」を「(虚偽のエピソードや設定を使って)男性に恋愛感情を抱かせ、金銭を受け取る女性」と自ら定義していた。つまり、購入者の多くは「詐欺行為のマニュアルである」と知りながら購入していたことになる。
https://bunshun.jp/articles/-/65384
文春によると有料noteでマニュアルが公開されている模様
マニュアルによれば、「頂き女子活動」は大きく次の3ステップに分かれる。
1・信頼関係構築
2・お金を頂くための会話
3・アフターケア1・信頼関係構築
「信頼関係構築」の章では、相手との信頼関係を築くための会話スクリプトと、どんな相手を狙ったらいいかが書かれている。渡辺容疑者は日常会話を「信頼関係を構築する手段」だと定義しており、信頼関係を構築するには
•おぢのことを知る
•おぢの「楽しい思い出」を作る
•クソおぢを見極める
•頂き女子活動の不安をなくすことの4点が大切だとマニュアルで語っている。
この4点を整理してまとめると、日常会話の中で相手がどんなことを楽しく思うかをリサーチしたうえで、相手に楽しい思いをさせる。そうすると、相手の中で「自分への信頼」が生まれるため、「相手が何を考えているのかわからないことがなくなる」「お金の無心をして見限られる不安がなくなる」と書かれている。
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それぞれのステップには、具体的に何をすべきか、例文、その行動によって相手の心理がどのように変化するかが書かれている。
たとえば、「おぢのことを知る」というステップでは
おぢがどんな性格でどんな価値観をもっているのかを
たくさん探っていきましょう
おぢもたくさん⾃分に興味を⽰してくれると嬉しいし
おぢがどんな⼈なのか知るのは、頂き⼥⼦活動の中でとっても重要です
どんな⼈かわからないままどんどん活動を進めてしまうと
おぢも⾃分も不信感があるので頂きがうまくいきません
と解説が行われており、例文も用意されている。
「おぢって優しいし友達多そうだよね︕」
「おぢってお休みの⽇何することがおおいのー︖」
「おぢ今なにしてるのー︖」
こうして信頼関係を構築するのは、相手に恋愛感情を抱かせ金銭の要求を成功させるためだ。
このフェーズでは最終的に、相手に恋愛感情を抱かせるために「朝起きて真っ先におぢにLINEするのが⽇課になったよ笑」「朝おはよって⾔い合えるの嬉しいなあ」といった形の「相手に好意を持っている前提」の会話を行っていくことで、「相手に喜んでもらう」「幸福感を与えてあげる」ことが目標になるという。
渡辺容疑者は詐欺のマニュアルを作成しているにもかかわらず、相手に恋愛感情を抱かせることを「相手に喜んでもらう」「幸福感を与えてあげる」と、マイルドな表現にしていることが印象的だ。
「惚れさせる」「依存させる」という強い表現を使わず、こうした表現を使っていたのは、詐欺の教唆にならないよう注意したためともとれるが、「相手を舐める気持ちが文面に現れると、詐欺が成功しづらくなる」ということをマニュアルに込めていた、とも考えられる。
2・お金を頂くための会話
信頼関係が構築できたら、狂言を使って金を引き出すフェーズに入る。
毎日していたLINEを急に止めることで、トラブルを匂わせる。そして数日経ってから「家賃を滞納している」「借金取りに追われている」などの嘘をつき、相手に「僕がなんとかするよ」と言わせるのが基本の流れのようだ。
渡辺容疑者は、自分の窮状を相手に伝えることを「魔法をかける」と定義していた。ここにも、渡辺容疑者の表現へのこだわりが見受けられる。
嘘をついて相手から金を無心するのは、一連の流れの中で最も心理的抵抗のあるステップだ。売春を「援交」、窃盗を「万引き」と表現することで、いくらか心理的抵抗が低減されるように、心理的負担を取り除くために虚言を使って人を欺くことを「魔法」と表現した可能性もある。まあ私は渡辺容疑者に会ったこともないし、長期にわたって追跡していたわけでもないので、これは単なる考えすぎかもしれないが。
たとえば、家賃を滞納している場合は
いつから→2ヶ⽉前(2ヶ⽉分)
どこから→管理会社
誰が借りているのか→⾃分
何に困っている→家賃を滞納
何故滞納したのか→コロナで前より稼ぎが減り払う余裕がなかった
払わないとどうなるのか→家を追い出される。実家に連絡がいって困る
というように、狂言の設定を詳しく練ることの重要性が書かれている。
そして、いきなり全ての設定を出すのは下策で、情報を小出しにすることで相手の理解を深めることが大切だという。また、LINEを送る時間も「仕事中ではなく相手が家にいる時間を狙う」と、成功率を高める方法は細部まで詰められている。
そしてポイントは、「金に困っている」ということは伝えつつも、「金を出してくれ」とは言わないことだ。
「おぢだから相談した」「金目当てではない」ということを会話で伝え(例文も載っている)たうえで、相手の方から「僕がなんとかするよ」と言うように誘導していくことの重要性を強調している。
また「お金を出すよ」と言われた際も、必ず1度は断るという。
そのうえで「なんか色々調べてみたんだけど ネットでソフト闇金っていうのがあって それに申し込んでみようかな」などと根本的な解決にならない案を出して、相手に助け舟を出させる方法や、1度に要求する額を欲張りすぎると、成功率が下がるというアドバイスも紹介している。
ただし、こうして虚偽のエピソードで金銭を要求しても、すぐに「お金を出す」という相手ばかりではない。「弁護士に相談したら?」「親御さんに助けてもらえないの?」と、金銭を提供する以外の代案を出されることも多いという。
こうした提案をあらかじめ想定し、「私はおぢのこと信⽤して全部話したの。全然知らない部外者に話すつもりない」「ずっと暴⼒とかされてたり、家族みんな仲良くなかったからそれが嫌で家を⾶び出てきたのに今さら相談できるわけない」などと、相手の代案を否定する例文まで用意されている。
3・アフターケア
金銭を受け取ったあとは、アフターケアをすることでトラブルの防止と、「次の頂き」に繋げることができるという。
渡辺容疑者はアフターケアを「いっっっちばん重要なところです ここを疎かにする⼈は、頂き⼥⼦ではありません」と評している。
金銭を受け取ったことに関して
・おぢのおかげで…を話す(相手のおかげでどう助かったか)
・何に使ったのかはなす(何にいくら使ったのか)
・これからどうなっていくか話す
・おぢがいなかったら(相手の助け舟がなければ、どうなっていたか)
・未来型色恋(将来を予感させるようなこと)の5点を踏まえた会話で相手に感謝を伝えることで、相手の承認欲求を満たし、満足感を持続させられるという。
「これで普通の⼥の⼦になれる
全部おぢがいてくれたからだよ
本当にありがとう」
「もしおぢに出会えなかったらわたし
今頃しんじゃってたよ。本当に
おぢは命の恩⼈でもあるね」
「おぢがいなかったら怖くてなにもできなかった
本当にありがとう」
「おぢ、これからもずっと⼀緒にいてね」
「私から離れないでね」
という例文も付属している。
このあとは、ふたたび最初に戻って頃合いを見て「おぢに嫌われたく無くて言ってなかったんだけど」という形で、再び狂言で金銭を要求するようだ。
そしてこのあとは、「おぢを捕まえやすい場所」や「自分に本気になっている相手を見極める方法」、「金銭を失って病んでいる相手をケアする方法」「金銭の要求が成功しやすい相手の見極め方」「男性と出会う場所」などのTipsが続いてnoteは終わる。
金銭を要求しやすい相手の特徴は
(1)寂しがりや、孤独を感じている
(2)特に趣味もなく生きる意味を見いだせていない
(3)人に頼られたことがない
(4)女がらみが少なく恋愛をあまりしたことがない
(5)借金経験があり金銭管理が得意ではないの5つらしい。
これを見極めるために、「何の仕事をしているのか」「恋愛経験は多いか」「友達が多いか」を日常会話の中で探っていこうと書かれている。
逆に、
・体目当てな人
・金を払う払うといって払わない人
・生活が充実している人
・自己中な人は、金銭に期待のできない「くそおぢ」と言って関わらないことが推奨されている。
https://bunshun.jp/articles/-/65384?page=4