竹中平蔵「まずは給料を上げろという日本人は間違っている」先に生産性…日本に本当の金持ちがいないのは、成功者の足を引っ張る日本の国民心理の問題」過去の竹中平蔵「若者には貧しくなる権利がある」

竹中平蔵『政治家の5年1000万円不記載で過剰にガタガタすべきでない』全員が潔癖だと、社会はなかなか成り立たたない」という記事を配信した際、多くの反応が寄せられた。今回はその反応に対する竹中平蔵氏の反応をお届けするーー。

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私が影で日本を操っているなら、もうちょい日本経済はマシになっている

 私が何か記事を出す度に「竹中平蔵が格差を広げた」と批判されます。これについては何度も、何度も説明しているのですが、私は小泉純一郎内閣のとき失業者、つまり給料ゼロの人を、100万人単位で減らしました。そうすると格差は縮まっているはずです。私が影で日本を操っているといった陰謀論を平気で口にする人もいますね……。私が影で日本を操っているなら、もうちょっと日本の経済はマシになっているのではないかと思っています(笑)。  そもそも論ですが、世界的には90年代の最初から格差は拡大し続けていています。それは技術革新の中でビル・ゲイツといった人物が登場した一方で、スマホすら使えない人もいて、給料や所得で大きな差を生まれたのです。ただしその広がり方をみると、日本を欧米よりも緩やかです。  なぜなのか。日本には本当の意味での金持ちがいないからです。ジニ係数、世界不平等レポートをみても貧富の差は欧米諸国に比べれば低いのです。たしかに格差が緩やかに広がったことで大変な生活を強いられている人もいます。しかし、すごい金持ちもいない。その理由は、所得税・住民税が55%、相続税55%という高所得者の税金の高さからきています。

日本の問題は本当の金持ちがいないこと

 税金はどこの国にもあるものですし、金持ちが多く払うのも当然です。しかし日本はそれが極端です。なかには相続税のない国もある中で、所得税が高いのに相続税まで高いというのは日本税制度のすごく大きな問題となっています。  金持ちに税金をかけすぎるとどういう問題が起きるかというと、リスクマネーがなくなります。リスクマネーとは、例えば、収益性があまり見えなくても、将来性にかけてお金持ちがドーンと投資するおカネです。もし事業が上手くいかなかったとしてもその人が200億、300億持っている人が1億を払っても、その人にとって「大した金ではない」ないのですから。1億しか持っていない人が1億を支払ったら大変なことですが……。  最近VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けているベンチャー企業の人から「新しくリスクをとって新規事業を始めようとしてもVCが反対する」という話を聞きました。これはとても深刻な問題です。VCの背後にはお金を出している人がいるわけですが、さっきの話でいえば数百億もって出資している人はいなくて、そこそこの資産の金持ちがなけなしお金で出資しているというのが現状のようです。そうすると、なんだか矛盾していますが、VCからすれば無用なリスクをベンチャー企業にとられては困るのです。

「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」

 だから日本の格差を是正するために、高所得者からもっと金をとるという発想は全く逆なのです。それではなぜ日本はここまで高所得者に厳しいのでしょうか。  一つは過剰な平等意識がもたらすもはや国民性の問題です。自分より成功している人の足を引っ張りたいと思う国民心理です。週刊誌のスキャンダルに溜飲を下げる人が日本ではとくに多いように感じます。その国民性が政治に反映されているのでしょう。私のように大した資産を持たない者ですら日本では金持ち扱いされ、叩かれてしまう国なのですから。ですが、元英首相マーガレット・サッチャーはこう言いました。「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」のです。  そしてもう一つは成長機会が少ないことが問題です。今は「事業がうまくいってない」「給料が安い」……そんな状態でも、「いずれ自分はチャンスをものにし、成功をつかみとれるはずだ」と思えるかどうかです。中国は国民がそう信じてこられたからこそ、ここまで成長できたのです。これも元英首相のウィンストン・チャーチルの言葉ですが「成長はすべての矛盾を覆い隠す」のです。アメリカンドリームも結局は成長の物語です。自分の子供が親の世代になる敵には生活水準が今の2倍になるからこそ、リスクを背負ってアメリカで挑戦する人が後を絶たないのです。

とにかく「まずは給料を上げろ」という主張の間違い

 日本が成長できない国になってしまったのは、リスクに対して過剰に敏感な国民が、困ったらすぐ政府に助けを求めるからです。今は〇〇ショックが起き一部国民が生活に困ったら、政府はすぐ「はい、補助金」というばんそうこうを出して傷口をふさぎます。しかしそうやって補助金に頼り、本来市場から退場するべき企業が延々と残り続けているのが日本です。それによって国民は一時的な安心を手に入れるのかもしれません。政府も支持率が上がるので、すぐに補助金を出します。ただそれを続けたらがゆえに低成長社会に日本はなってしまいました。補助金といったミクロマネジメントを政府に求めるのではなく、政府にしかできないマクロマネジメントをしっかりさせるような民意を持たなくてはなりません。  この低成長社会から脱却するためには「まずは企業が無理にでも給料を上げて、経済を回すべきだ」と主張する人がいますが、それは経済学的に間違っています。そんなことをすれば悪いインフレが起き、実質賃金は上がらないままです。実質賃金、国民一人あたりのGDPを高めるためにはやっぱり企業・国の生産性を高めることが先です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/dc51644c74e828f8c5b6e08cff1a237d742cfc11?page=2

政治家も貧しくなる権利があるんじゃないですかね?w

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