岸田が打ち出した謎の花粉症対策
岸田文雄首相は7日、花粉症対策を巡り初期集中対応パッケージをまとめると表明した。発生源となるスギ人工林の伐採や花粉の少ない品種への植え替えを重点的に進める区域を2023年度中に設定すると明かした。
茨城県常陸大宮市の山林での伐採作業の視察後、記者団に語った。近く関係閣僚会議を開いて決める。首相は「10月にまとめる経済対策に盛り込み早急に実施に移していく」と強調した。
スギ人工林を伐採するために必要な高性能機器の導入に向けた支援策、住宅資材へのスギ材活用策なども検討する。政府はスギの人工林を10年後に2割ほど減らす目標を掲げている。
首相は価格が高騰する飼料の生産増など酪農への支援にも取り組むと述べた。こちらも関係閣僚らと近く協議し、対策をまとめると明言した。
「酪農経営の基盤強化に向けて輸入飼料の価格高騰の影響を抑制するべく、国産飼料の生産と利用の拡大をはかる必要がある」と話した。水田を飼料作物などの畑作に転換するのを推進する。
栃木県那須烏山市の牧場で酪農家や乳業メーカー関係者らと意見交換した。安定した飼料生産に向けた中長期の支援を求める声などがあがった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06BR30W3A001C2000000/
実は米を遺伝子組み換えの品種に変更することが目的だったということが発覚
花粉症緩和米とは?
政府は、花粉症の症状を緩和するコメ「スギ花粉米」の開発を本格化させる。遺伝子組み換え技術を使って、花粉症の原因物質の一部を含むコメを少しずつ摂取し、花粉に対する耐性の獲得を図る。医薬品としての実用化を目指し、来年度中に国内の医療機関で臨床試験を始める計画だ。
花粉症は、アレルギー疾患の一つだ。原因で最も多いスギによる花粉症を患う人の割合(有病率)は、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の調査によると2019年は39%で、約20年前より倍以上に増えている「国民病」だ。
こうした状況から、政府は重点政策の一つと位置付ける。岸田首相も出席した5月30日の「花粉症に関する関係閣僚会議」は、スギ人工林の面積を今後10年で2割減らすことなどを柱とする花粉症対策を決定した。花粉米について、今年度は医薬品として製造し供給するまでのビジネスモデルを検討し、24年度には、医療機関や製薬企業と連携して、安全性と効果を確かめる臨床試験を進めることを明記した。
花粉米は、農林水産省所管の農業・食品産業技術総合研究機構が2000年度から開発を進めている。花粉症の原因物質の一部をつくる遺伝子を組み込んだイネを栽培する。原因物質は、収穫したコメのたんぱく質「PB1」に蓄積する。花粉が飛散する数か月前から毎日摂取すると、徐々に体が花粉に慣れ、シーズン中の症状を抑えることが期待されている。
「PB1」は、胃で消化されにくく、多くの免疫細胞が集まる腸で吸収されるという特徴がある。このため農水省は「スギ花粉に反応しにくい体質に効率的に改善できるのではないか」とする。
慈恵医大などの研究チームが16~18年、花粉米から試作したパックご飯を使って小規模な臨床試験を行った。食べた患者は、シーズン中のくしゃみが減るなど症状が緩和された。
同機構は当初、スーパーなどでも購入できる手軽な健康食品として実用化することを目指していたが、厚生労働省は07年、「治療効果を目的としており、医薬品として扱うべきだ」と判断した。その後も開発は続いていたものの、製薬企業の協力が得られず、難航していた。
今回、政府が花粉症対策をとりまとめることになり、農水省は再び本腰を入れることを決めた。パックご飯や米粉、錠剤などから適した形態を検討する。
大久保公裕・日本医大耳鼻咽喉科教授の話「実用化には、臨床試験だけでなく、コメから、厳格な基準が求められる薬を安定的に製造できるのかや、アレルギー物質に体を慣らす既存の治療と比べた利点の検証も必要だ」
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230724-OYT1T50131/
デメリットは人工的にいじったDNAは遺伝していって、仮にそれが人類に大きな被害をもたらすDNAだったとしても一度拡散したDNAはもう回収は不可能だということ
今年も花粉症の季節は後半となってきましたが、辛い症状でお悩みの方は、「ご飯で花粉症対策」と聞けば、きっと期待されることと思います。
これは、お米自体にスギ花粉から出る抗原と似た抗原を作らせ、これを毎日食べ続けることによって、スギ花粉から本当の抗原が入ってきた時にも花粉症の症状が出にくくなる、という技術です。まだまだ実用化はされていませんが、臨床試験で効果も確認されているとのことですから、近い将来、スーパーなどに並ぶようになるかもしれません。
しかしよく考えてみると、稲同士をいくら交配しても、お米がスギ花粉の抗原をつくる品種を作り出すことは不可能なはず。そこで、使われているのが「遺伝子組み換え技術」なのです。
遺伝子組み換えとは?
遺伝子組み換えとは、細菌などの全く別の種の生物の遺伝子の一部を切り取って、別の生物の遺伝子に無理やり組み入れることによって、自然界では存在しえなかった新しい技能や性質をもった生物を作り出す技術のことです。
海外では、遺伝子組換え作物の栽培面積が年々増え続けています。日本では栽培はまだ実質的にゼロな状態ですが、食の輸入大国ですので、大豆やトウモロコシや菜種など、遺伝子組換え食品が私たちの食卓にのぼる機会が既に多くなっています。
実用されたものでは、例えばラウンドアップという除草剤で枯れない大豆や、虫を殺す毒素を自らつくるトウモロコシ、天然のものより数倍早く成長するサケなどがあります。
一見、人間にとって利益となりそうな、これら遺伝子組換え作物ですが、実はさまざまな問題が隠されており、世界中の科学者や消費者などから反対の意見が集まっています。図式としては、推進したいアメリカと、反対するEUといった感じです。
その問題点は大きく分けると、その食品の安全性と、生物多様性など生態系に与える影響の2点です。ここでは、「交雑」をキーワードに、生態系に与える影響についてお話したいと思います。
自己増殖する生き物であること
過去、人類は農薬や合成添加物について、当初は問題なしと判断して大量に使用し、後々になってその安全性の問題に気づき、生産を中止するということを何度も繰り返してきました。農薬のDDTや合成保存料のAF2などが有名です。しかし、それでも生産を中止すれば、その農薬がそれ以上増えることはありません。土壌に残留した農薬も年月と共にゼロになっていきます。
しかし、生物に組み込まれた遺伝子は、生物の生殖によって、自己増殖を続けていきます。ちょっと例が異なりますが、琵琶湖に入った外来種のブラックバス一つとっても、私たちはゼロにすることはできません。そのため、例えば、後になって、除草剤に枯れない菜種の問題点が明らかになったとしても、その時にそのDNAをもった植物が拡散してしまっていると、そのDNAを全部を回収することは、もはや不可能となるのです。
止められない交雑のリスク
ここで、ちょっと気になる情報をご紹介。
表2は、北海道で行われた交雑試験の結果です。遺伝子組換え作物が試験栽培されている場所から、一定距離離れた場所での交雑率を調べています。
結果を見ると、例えばイネでは650mも離れていても0.028%の交雑率だということがわかります。栽培場所から離れていても、完全に交雑を防止することができないことがわかります。
この危機は、すでに私たちの身近なところでも実際に起こっています。輸入した遺伝子組換えの菜種ですが、荷揚げした港からトラックで全国さまざまな場所に輸送されます。その途中で、荷揚げした港やトラックからこぼれ落ち、飛散して自生してしまっているのです。
グリーンコープ共同体が行っている「自生遺伝子組換えナタネ汚染調査」では、西日本を中心に全272ヶ所で調査を実施、そのうち大阪、岡山、熊本などの30検体で遺伝子組換えナタネが自生していることがわかりました。
長い時間軸で考える必要性
地球に生命が誕生して40億年。今の地球の生態系は気の遠くなるような年月を経てつくられています。しかし、私たち人間は、10年とか、せいぜい100年といった短い時間軸の中で生きています。1万年といわれた時点で、その時間の長さの意味を想像することができないのです。
確かに、花粉症を和らげるお米があると便利かもしれません。しかしその一方で、自然にある稲がスギ花粉の抗原をつくれないことの意味を、私たちは理解できていないのも事実です。同様に、なぜ一般の大豆はラウンドアップで枯れるのか、その生態系における意味を人類はまだ知っていません。
その「知らない」ということに対して、私たちはもっと謙虚であるべきでしょう。その面からも、遺伝子組み換えの問題点を、私たちはもっと認識していく必要があると思います。
https://www.akikawabokuen.com/columns/10503/
緩和米とは言っているが仕組みはワクチンと同じ
私たちが開発を目指しているスギ花粉症緩和米は、簡単に言うと「毎日のご飯を食べることによって、スギ花粉に対する減感作治療法をしよう。」というものです。ご飯として食べることは注射に比べればはるかに簡単な接種方法ですし、また、長期にわたって何回も病院に通う必要もありません。薬と違って飲み忘れも少ないと思われますから、患者さんにとって負担の少ない治療法だと考えられます。そこで、私たちは遺伝子組換え技術を利用して、スギ花粉症緩和米の開発に取り組みました。
もちろん、遺伝子組換えといっても、お米の中にスギ花粉を作り出すことはできません。そこで、私たちは、花粉が持っている抗原決定基(エピトープ)の部分に注目しました。エピトープとは、花粉の表面にあって、抗体が花粉を異物であると認識するために必要な部分のことをいいます。私たちのスギ花粉症緩和米では、いくつかあるエピトープの一つだけをお米の中で作らせることによって、体の中の抗体に花粉が入ってきたと錯覚させようとしたわけです。エピトープ一つだけでも抗体は認識することができますので、アレルギー反応を抑えることができます。また、複数のエピトープが体に入ってしまうことになる花粉全部を使う減感作治療法と比べると、一つのエピトープしか入れないスギ花粉症緩和米の方が、体に対しての負担や副作用が少なく効果の高い治療法となると期待されます。
エピトープの正体は、10個から20個ぐらいのアミノ酸がつながったものです。私たちのスギ花粉症緩和米とは、このエピトープをお米の中で作らせるようにしたものです。
私たちは、このエピトープをお米の粒の中だけで、そして、花粉症に効果があると考えられる十分な量が作られるようにするための研究を進めてきました。スギ花粉症緩和米だけでなく、今後、遺伝子組換え技術を利用した新しい機能を持った作物を作っていくためには、必要なものを、必要なところだけで、そして必要な量だけ作ることができる技術を開発することが大事だと考えているからです。もし、お米以外の部分(例えば葉っぱなどで)でエピトープが作られても私たちは利用できません。また、せっかくエピトープができても、効果が出るだけの量が作られなければ、まったく意味がありません。私たちは、こうしたさまざまな点を考えながら、開発を進めています。
すでに、私たちは、お米の粒の中にだけ、花粉症を抑えるのに十分だと考えられる量のエピトープを作るイネを開発することに成功しています。マウスにこのお米を食べさせる実験を行った結果、普通のお米を食べさせているマウスよりも、花粉症を引き起こす抗体を70%減らす効果があることが確かめられています。こうしたことから、私たちは、今回開発したスギ花粉症緩和米がこれまでより簡便な花粉症治療法として役立つ可能性があると考えています。
しかし、これで研究が終わったわけではありません。現在、私たちは、このスギ花粉症緩和米の食品として、あるいは作物としての安全性を確かめる実験を行っています。食品として食べた時に毒性や発ガン性がないか、食べ過ぎても大丈夫かなどに関する研究を、医師の方たちと共同して進めています。また、作物として栽培する時に、他のイネや作物に影響を及ぼす恐れがないか、また、普通のイネと区別して流通させることが可能かなどについても、関係機関と共同して研究を進めています。
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/gmo/simple.html