東芝が株式非公開化へ
東芝は29日、定時株主総会を開いた。7月下旬にも投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などが東芝株に対してTOB(株式公開買い付け)をかける見通し。東芝の島田太郎社長兼最高経営責任者(CEO)は「東芝は技術のダイバーシティー(多様性)が強みだ。これを維持して中長期で企業価値を高めるため、株式非公開化という新たな枠組みを選んだ」と株主に理解を求めた。
TOBが順調に進めば、東芝は今回が上場会社として最後の株主総会となる公算が大きい。会社側が提案した島田社長ら11人の取締役の再任が賛成多数で可決された。
島田社長は総会の冒頭で、社内に蓄積された技術を活用する方針を強調。デジタル技術を活用して次世代太陽光発電や水素など「脱炭素」の分野で成長を目指す事業戦略を説明した。
総会に参加した株主からはJIP陣営による非公開化案を受諾した理由について質問があった。東芝の非公開化案の是非を議論してきた特別委員会の委員長を務める社外取締役のジェリー・ブラック氏は、「会社にとって長期的な価値を1番の基準として選んだ。しっかりと資金調達できるのかについても考えた」と答えた。
会場周辺で株主に意見を聞くと、非公開化について批判したり先行きを期待したりと様々な声があった。
2013年から東芝株を保有している名古屋市在住の41歳男性は「事業を売却しても会社はよくならなかった。将来の再上場に向けて立て直してほしい」と話した。
父親が東芝で働いていたという横浜市の60代女性は「亡き父に代わり初めて総会に参加する。家で使う電化製品も全て東芝で愛着がある。非公開化は複雑だが経営陣は業績の回復に向けて真摯に頑張ってほしい」と語った。
親子2代で東芝社員だったという埼玉県所沢市から来た60代男性は「人の暮らしを支える基盤の企業として、私が生きているうちに復活してほしい」と述べた。
一方で千葉県船橋市から来た60代男性は「今日は見届けるために来た。金儲けだけを考えているアクティビストたちから逃れ、東芝内部の人達が正常な環境で安心して働けるようになることを期待している」と語った。
総会終了後、取材に応じた東芝OBの横浜市の60代男性は「東芝の経営に少しでも関わっていきたいので非公開には反対だ。不正会計発覚後に東芝は上場廃止を防ぐために海外からのファンドを受け入れたのに、結局非公開化するのでは意味がない」と語った。
東京都大田区に住む50代女性は「既にTOBによる上場廃止は決められていたことだから、来なくてもよかったかな。(東芝の経営が混乱しているのは)見るのもつらい」と述べた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC286780Y3A620C2000000/
株式非公開化のメリットとは?
株式非公開化にはいくつかのメリットがあります。まず、株式非公開化によって企業は株式市場から離れることができ、株主の期待や市場の短期的な影響を受けずに経営戦略を実行することができます。また、非公開化によって企業は財務情報を公開する必要がなくなり、競合他社からの情報漏洩のリスクを軽減することができます。
さらに、非公開化によって企業は長期的な成長を重視することができます。株式市場ではしばしば短期的な利益の追求が求められますが、非公開化によって企業は株主の圧力から解放され、長期的な戦略やイノベーションによる成長を図ることができます。
最後に、非公開化によって経営陣はより密接な関係を築くことができる場合があります。株式非公開化によって、企業の経営者や従業員はより少数の株主によって所有されることがあります。これによって、意思決定の迅速さや、経営陣と株主との意見の一致を図ることができます。
これらは株式非公開化のメリットの一部ですが、企業の状況や戦略によってメリットは異なる場合もあります。