近年話題になっている化学物質過敏症
悩んでいる人がかなり多く、ここ10年くらいで急速に存在感を増した病気
化学物質過敏症は、何かの化学物質に大量に曝露されたり、または、微量だけれども繰り返し曝露された後に、発症するとされています。 化学物質への感受性は個人差が大きいため、同じ環境にいても発症する人としない人がいます。 「今日、推計で5万種以上の化学物質が流通し、また、わが国において工業用途として届け出られるものだけでも毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に投入されています。化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されるという状況は、歴史上、初めて生じているものです」(2003年版『環境白書』より)。 その一方で、「今日、市場に出回っている化学物質のなかで、量として75%に当たるものについて、基本的な毒性テストの結果すら公開されていない」(米国NGOの環境防衛基金『Toxic Ignorance(毒性の無知)』1997)といった現状があります。 「便利な生活」のために、化学物質を開発、利用していくことが優先され、安全性の検証は後回しにされがちです。こうした背景のもと、「環境ホルモン」「化学物質過敏症」など、従来予想できなかった新たな問題が表面化してきたのです。 |
近年の化学物質過敏症の増加原因は香料などに使われる化学物質
近年、生活空間において“香り”を楽しむことがブームとなっており、高残香性の衣料用柔軟仕上げ剤や香り付けを目的とする加香剤商品の市場規模が拡大している。それに伴い、これら生活用品の使用に起因する危害情報も含めた相談件数が急増しており、呼吸器障害をはじめ、頭痛や吐き気等の体調不良が危害内容として報告されている。本研究では、柔軟仕上げ剤から放散する香料成分に着目し、侵害受容器であり気道過敏性の亢進にも関与することが明らかになりつつあるTRPA1イオンチャネルに対する影響を検討した。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/41.1/0/41.1_P-163/_article/-char/ja/
【方法】ヒト後根神経節Total RNAよりTRPA1 cDNAをクローニングし、TRPA1を安定的に発現するFlp-In 293細胞を樹立した。得られた細胞株の細胞内Ca2+濃度の増加を指標として、MonoTrap DCC18 (GLサイエンス社)を用いて衣料用柔軟仕上げ剤から抽出した揮発性成分についてTRPA1の活性化能を評価した。また、GC/MS分析により揮発性成分を推定した。
【結果】市販の高残香性衣料用柔軟仕上げ剤を対象として、それぞれの製品2 gから抽出した揮発性成分メタノール抽出液についてTRPA1に対する活性化能を評価した。その結果20製品中18製品が濃度依存的に溶媒対照群の2倍以上の活性化を引き起こすことが判明した。さらに、メタノール抽出液のGC/MS分析結果より、LimoneneやLinallolの他に、Dihydromyrcenol、Benzyl acetate、n-Hexyl acetate、Rose oxide、Methyl ionone等の存在が推定され、これらの中で、Linalool 及びRose oxideがTRPA1を活性化することが明らかになった。これらの結果より、柔軟仕上げ剤中の香料成分がTRPイオンチャネルの活性化を介して気道過敏性の亢進を引き起こす可能性が考えられる。
特に人工香料の製造に多く使われている依存性の高い猛毒「トルエン」「キシレン」など有機溶剤が原因となっているとみられる
2020年に「香害をなくす連絡会」が行った香り付き日用品による香害被害のアンケート https://nishoren.net/flash/13304 には9,000件以上の回答があり、被害があるという答えは79%の7,136件、香害の原因の第一位は柔軟剤(86% 6134件)、第二位は香り付き合成洗剤(73.3% 5259件)ありとあらゆる香り付き日用品が香害の原因になっていますが、柔軟剤と合成洗剤は圧倒的に大きな被害を起こしています。
柔軟剤・合成洗剤の成分には、香料の他にも大きく分けて4種類の問題があります。香料や他の成分については「02-1 日用品には何が入っている?」「02-2 香料の何が問題なのか」「01-4 香害と化学物質」のカテゴリなどに詳細な情報が掲載されていますので、是非ご参照ください。
1. 柔軟剤の成分、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩。衣類をふんわりさせる目的で配合されます。殺菌作用があるので抗菌剤として除菌消臭スプレーなどの日用品に使われることもあります。細胞のタンパク質を変性することによって殺菌をするので、皮膚に強い刺激があり、かゆみや湿疹の原因になります。アトピー性皮膚炎の患者は柔軟剤を使用しないよう、日本医師会も呼びかけています。 https://www.med.or.jp/chishiki/atpy/004.html
呼吸器にも刺激が強く、第四級アンモニウム塩などの消毒剤を使用する看護師の慢性閉塞性肺疾患(COPD)発生リスクを25~38%増加させたという研究があります。第四級アンモニウム塩には多くの種類があり、用途や毒性の強さは様々です。水棲生物にも強い毒性がありますが、日本では水質基準がありません。
米看護師健康研究(NHS)データで示す、消毒剤のCOPDリスク
https://www.medicalonline.jp/news.php?t=review&m=nursing&date=201911&file=20191106-JAMA_Network_Open-2-1913563-N.csv2. 合成香料や消臭・抗菌成分を封入しているマイクロカプセル。流通している香料の90%以上は石油由来の合成香料で、半数はアレルギー性、神経毒性、変異原性、発がん性、環境ホルモン作用などの毒性があります。毒性は主に皮膚への影響が調べられており、吸引した時など他の毒性はほとんど検査されていません。
マイクロカプセルはメラミン樹脂やウレタン樹脂といったプラスチックで作られており、キャップ一杯にマイクロカプセルが1億個入っている製品もあります。カプセルは服や人体、あらゆる表面に強力に接着し、温度変化、摩擦などで壊れ、PM2.5以下の超微粒子のプラスチックのかけらになり、中身を放出します。合成香料などと共に吸い込まれたマイクロカプセルが肺に蓄積する危険性、回収不能な形で大気を汚染、80%が下水処理場を素通りして水循環や土壌に蓄積、汚染することが心配されています。全国で河川や海から柔軟剤のにおいがすることが報告されています。
3. 添加物として使われる抗菌剤、蛍光増白剤、香料の保留剤など毒性のある化学物質。保留剤には香料を溶解したり長持ちさせるためにフタル酸エステル類(pfthalates)が使われることもありますが、これはプラスチックの可塑剤でもあり、おもちゃや食品を扱う手袋などへの使用が日本、EU、米国で禁止されています。フタル酸エステル類のうち、フタル酸ジブチルとフタル酸ジ-2-エチルヘキシルは、厚労省がシックハウス症候群の原因となりうる物質の一つとして、室内濃度指針値を設けている13の化学物質に、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエンなどと共に指定されています。環境ホルモン作用がある物質でもあります。
厚労省「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について 中間報告書―第23回までのまとめ」(2019.1.17)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3866&dataType=1&pageNo=1厚労省 フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いに関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0213-10h.pdfまた乳がん患者の尿から有意に高い濃度のフタル酸エステルが検出されたという研究もあります。
エアゾール式芳香剤・消臭剤に含まれるフタル酸エステル類の分析とその暴露評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/4/135_14-00193/_pdf4. 柔軟剤などから揮発する揮発性有機化合物(VOC)の問題
VOCは光化学スモッグの原因物質のひとつで、トルエンやキシレンなど、よく使われるものだけでも約200種類あると言われています。トルエンやキシレンは中毒性があり、吸引しているうちに依存症を起こし、回復不能の脳障害を起こす恐れがあります。皮膚からも吸収されるため、危険性が高いと言われます。
トルエンやキシレンなどVOCは香料の製造にも用いられており、エアゾールスプレーのガス、家庭用塗料、接着剤だけでなく、柔軟剤からもVOCが揮発しています。環境中に放出された香料は個人レベルの被害を超え、実際に大気汚染の原因になり、水棲生物など生態系に蓄積され、母乳を関して乳児に移行していることがわかっています。環境省は家庭用品から排出されるVOCについて推計を始めていますが、香料や防虫剤などは大気汚染の原因になっているというエビデンスがありながら、推計の対象外としています。このような物質が入っている柔軟剤や合成洗剤などを使用した衣類を肌につけ、「よい香り」を吸引しているうちに、香料だけでなくトルエンのようなVOCの中毒・依存症になる可能性も考えられます。(関連記事 02-2_3_02 香料の環境汚染)
「東京都環境局 暮らしの中のVOC」:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/voc/voc_life/index.html
『化学物質の環境リスク初期評価(平成9~12年度)結果[39物質][9] キシレン – 1.物質に関する基本的事項』 環境省:https://www.env.go.jp/chemi/report/h14-05/chap01/03/09.pdf
「本物質の主な用途は、異性体分離により p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、エチルベンゼン、脱メチルによりベンゼン、合成原料として染料、有機顔料、香料、可塑剤、医薬品、溶剤として塗料、農薬、医薬品など一般溶剤、石油精製溶剤である 1)。」食品安全委員会『トルエンの概要について』(2008/11/12) : https://www.fsc.go.jp/emerg/toluene.pdf 「トルエンの用途は、染料、香料、火薬(TNT)、有機顔料、合成クレゾール、甘味料、漂白剤、TDI(ポリウレタン原料)、テレフタル酸、合成繊維、可塑剤などの合成原料、ベンゼン及びキシレン原料、石油精製、医薬品、塗料・インキ溶剤等である。ヒトにおけるトルエンの主な暴露経路は、大気からの吸入である。また、飲料水からの摂取も想定され、水道法の水質管理目標値(0.2 mg/L)が定められている。」
「有機溶剤は何故毒性が高いの? – 三協化学株式会社」:https://www.sankyo-chem.com/wpsankyo/2227
「これらは中毒性があったりシックハウス症候群を起こす原因にもなります。 継続的に吸入したりすると最悪回復不能の脳障害を起こす恐れもあります。 呼吸器や消化器からだけでなく、皮膚にその物質が付着すれば皮膚からも取り込まれやすいため危険性が高いと言われています。」よく誤解されますが「有機」とは炭素を含む化合物という意味であり、安全な物質という意味ではありません。VOC, Volatile Organic Compoundのオーガニックも炭素を含むという意味です。柔軟剤から揮発するVOCについての研究の論文が発表されています。
『家庭用柔軟剤等の使用に伴う揮発成分挙動に関する研究』浦野 真弥 , 太宰 久美子, 加藤 研太:https://www.jstage.jst.go.jp/article/siej/25/1/25_85/_article/-char/ja?fbclid=IwAR2gRKUKjkUnzmblT6jHXxoobuw1KpyP9A8YED_9I7t_4OOoNG20sGwe5dI
抄録より抜粋:「柔軟剤等の使用に伴う健康被害の訴えが増加していると国民生活センターなどが報告しているが, これらの使用に伴う揮発性有機化合物(VOC)の挙動に関する情報は少ない。本研究では, 繊維質の違い, 製品成分の違い, 繰り返し使用時および使用停止時の揮発成分挙動を把握することを目的とした洗濯試験を実施し, 洗濯中および洗濯後の衣類からの揮発成分を吸着材に捕集してGC/MSの全イオンクロマトグラム(TIC)分析を行った。さらに検出されたピークのマススペクトルから物質を推定し, 確度の高い物質について, 沸点や蒸気圧, オクタノール水分配係数と揮発挙動の関係について解析した。繊維質について, ポリエステルで疎水性物質の揮発量が多くなり, 綿で親水性物質の揮発量が多くなる傾向を示し, 揮発成分組成が変わることが示された。」
柔軟剤や合成洗剤にはその他にも泡調整剤、防腐剤、安定剤、着色料などさまざまな添加物が配合されていますが、日用品のなかには化粧品や食品と異なり全成分公開の法的義務がないものがあり、その場合の成分表示はメーカー任せになっています。石けんや洗剤、漂白剤などは雑貨工業品という項目の家庭用品品質表示法の指定品目なので、1%以上の成分については成分開示義務がありますが、柔軟剤や消臭剤など表示義務のないものもあり、現在ラベルやメーカーのウエブサイトに公表されている成分は全成分ではなくほんの一部に過ぎず、詳細な化学物名が公開されていないものも多いので参考程度にしかなりません。
香害をなくす連絡会や東京・生活者ネットワークなど市民団体が柔軟剤や除菌消臭剤なども指定品目に加えるよう何度も消費者庁に要望書を出していますが、2021年6月現在、指定品目にする必要はないとの回答しか得られていません。
洗濯用品だけでなく、食品、化粧品についても、香料として一体どんな化学物質が何種類、どのくらいの量で配合されているのかは企業秘密として公開されず、「香料」とだけ記載されているものがほとんどです。しかし、香料として日常的に使用されている化学物質は3,000種類以上あり、それぞれの化学物質の毒性は単独でのテストしか行われておらず、複合的、長期的に使われた場合の毒性はメーカーサイドでも不明だと言われています。
日本消費者連盟は、2018年12月11日に、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、化学物質過敏症支援センター、香料自粛を求める会、日本消費者連盟関西グループ、反農薬東京グループと連名で、花王株式会社、ライオン株式会社、P&Gジャパン株式会社に対し、「洗濯用合成洗剤、柔軟仕上げ剤など家庭用品の全成分開示を求める要望書」を送りました。メーカーからは「検討する」「前向きに検討する」との回答がありましたが、2021年6月15日現在、全成分は開示されていません。
洗濯用合成洗剤、柔軟仕上げ剤など家庭用品の全成分開示を求める要望書に対する回答書(2019.1.10)https://nishoren.net/new-information/10962
テレビなどCMでは人気タレントが柔軟剤や香り付き、消臭や除菌をうたう日用品を、良い香りのする、あなたの生活を安全にする、悪臭を消すなどと盛んに宣伝しています。「大好きなOO君が宣伝している製品が体に悪いわけがない」「日本は安全基準が厳しい。店で普通に売られているものが危険なはずがない」と思いたいですが、実際には日本の化学物質に関する基準は緩く、EUでアレルゲンとしてラベルに表示義務がある香料なども、日本では一切表示義務がありません。
https://kogailibrary.org/2021/06/16/02-1_1_01_ingredients/
トルエンの毒性を見てみると…
トルエン(英: toluene)は、芳香族炭化水素に属する有機化合物で、ベンゼンの水素原子の1つをメチル基で置換した構造を持つ。無色透明の液体で、水には極めて難溶だが、アルコール類、油類などには極めて可溶なので、溶媒として広く用いられる。
常温で揮発性があり、引火性を有する。消防法による危険物(危険物#第4類第1石油類)に指定されており、指定数量の20 %以上の貯蔵には消防署への届出が必要である。人体に対しては麻酔作用がある他、毒性が強く、日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。管理濃度は、20ppmである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/トルエン
トルエン蒸気の吸入には中毒性があり、強い吐き気を催す。長期にわたり繰り返し吸入を続けた場合、回復不能の脳障害を負うことが確認されている。また耳毒性も確認されている。
トルエンは液体からの蒸気吸入だけではなく土壌汚染、地下水汚染等により経皮・経口で体内に入る可能性がある。また、塗料や樹脂などの建材の溶剤として用いられたトルエンが室内に放出されることがあり、シックハウス症候群の原因物質の1つであると言われている[4]。また排気ガス等にも含まれている。
トルエンは代謝によりその大部分が排出される。ただし、トルエンは水への溶解度が低いため、汗や尿といった通常の経路では排出することができない。そのため、代謝によって、より水溶性の高い物質になる必要がある。トルエンのメチル基は芳香環部分と比較して酸化されやすい。そのためヒトの体内に吸収されたトルエンの95 %は、シトクロムP450によりメチル基部分が酸化されてベンジルアルコールとなる。この代謝経路では残りの5 %が環が酸化されたエポキシドとして残留する。このエポキシドの大部分はグルタチオンと複合体を形成するが、細胞に対する深刻な毒性は避けられない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/トルエン
このトルエンに加えてトルエン以上の毒性を示すものが入ってる柔軟剤も…
柔軟剤に含まれる香害の最大の原因はイソシアネート
イソシアネート(英: isocyanate)とは −N=C=O という部分構造を持つ化合物のこと。イソシアナート、イソシアン酸エステル(イソシアンさんエステル)などとも呼ぶ。非常に反応性に富むため、湿気を避けて冷蔵保存する。ポリウレタンの材料になるため工業的にも重要な化合物。
無機化学では、シアネートイオンの窒素に金属が配位した塩 M(N=C=O)n をイソシアネート、イソシアン酸塩と呼ぶことがある。
皮膚や眼に加えて呼吸器に有害性があり、急性では気動刺激による咳および呼吸困難、慢性では喘息および肺機能低下が挙げられる[1]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/イソシアネート
日本のアレルギー疾患の臨床研究の第一人者でもある多賀城の角田先生の、日本臨床環境医学会でのイソシアネートに関する発表内容をシェアさせていただきます。
イソシアネートについては、何度か紹介していますが、香り付柔軟剤や洗剤・消臭スプレーなどの香りや臭いを包み込むマイクロカプセルの主原料で、柔軟剤のボトルキャップ1杯の中に1億ものマイクロカプセルが入っているというから驚きです。
香害による化学物質過敏症患者の増加が社会問題になりつつありますが、香料もさることながら、このマイクロカプセルが、はじけた後の残渣に含まれるイソシアネートやマイクロプラスチックによる人体や環境への影響が、世界中で問題視されています。
イソシアネートはポリウレタンの主原料でもあり、タイヤやマットレス・アスファルトや防水工事など様々な製品に使われていますが、最近では、新築の吹付断熱にも使われるようになっています。
何が問題かというと、イソシアネートは、成型品のように固まってしまえば問題は、少ないのですが、現場では水と混ぜて発泡させるので、固まりきらずにモノマーとして揮発してしまうのです。
さらに、高温多湿になりやすい壁体内では、湿気や熱によって分解されたり、地震時の割れなどで、室内空気に影響を与えてしまう恐れがあるということになります。
しかし、業界では、危険性の認識は乏しく、ホルムアルデヒドを含まない安心な断熱で、隙間なく施工出来るとして使用されているのです。
角田先生に、確認したところ、高気密・高断熱+ウレタン断熱に換気不足が重なると、最悪の組み合わせだということでした。
角田先生の病院では、マイクロカプセルによる健康被害を考慮し、今年からイソシアネートのige値の検査を取り入れているようですが、これまで、322名中35名の方が陽性反応を示し、91名の方に0.1以上のige値の反応があったそうです。
これまで、イソシアネートは職業病的な要素が強かったのですが、イソシアネート汚染は、確実に一般の家庭にも確実に広がっているようです。
イソシアネートは、塗料などに使われるトルエンの1万倍の毒性とも言われていますので、出来るだけ暴露を控えるのが賢明ですので、くれぐれもご注意ください。
以下、FBの記事を転載させていただきますので、是非ご覧下さい。
—猛毒物質イソシアネート(ウレタン樹脂やウレタン塗料の原料)汚染が広がっている—
2019年6月23日、東京の北里大学で行われた日本臨床環境医学会でイソシアネートに関する発表を行ってきました。その速報です。
イソシアネート汚染が広がっており、環境中のイソシアネートにアレルギーを起こしている人が増えています。ウレタン樹脂を扱う労働者以外で、一般の多くの人でIgEが陽性になったという報告はいまだ世界中でありません。イソシアネート対策が遅れている日本だけの状況かもしれません。
過去には多くの労働者でイソシアネートIgEは陽性になりましたが、現在は81名中2名など、数パーセントとなっています。今回の調査で判明した陽性率は10.9%で異常な高さです。イソシアネートによる健康被害は労働者の問題から一般の人たちの環境問題になりつつあります。
イソシアネートは猛毒物質であり、皮膚、粘膜を損傷し、神経系を刺激します。発癌性もあります。微量でも人を傷つけますが一旦アレルギーを起こすとさらに微量でも激しいアレルギーが起きます。IgEの値を上昇させ、アレルギー症状を悪化させます。ポリウレタンとして柔軟仕上げ剤(マイクロカプセルの壁材として使用)だけでなく、無香料の防臭スプレー(マイクロカプセルの壁材として使用)や伸びる衣類(ポリウレタン)など多くの身の回りのものにも使われています。厳格な対策が必要です。
アレルギーのひとたちは敏感に環境中の毒物(化学物質)を感じ取り、危険を教えてくれます。以下は発表の抄録です(内容を発表時の内容に変更しています)。発表時は322名の人たちの結果を発表しました。
—-環境中のイソシアネートに対する感作状態
トルエンジイソシアネート(TDI)IgE値の状況
○ 角田和彦 かくたこども&アレルギークリニックイソシアネートは経気道、経皮に感作され、いったん感作されると極微量でも症状が誘発される。現在では、柔軟仕上げ剤に含まれる香料などの効果持続を高めるためのマイクロカプセルの壁材(ウレタン樹脂)として使われる。
https://www.daitojyutaku.co.jp/blog/1778/
マイクロカプセルから揮発するイソシアネートによって病状が悪化している可能性を考慮し、2019年1月からTDIIgEをアレルギー検査のルーチンの検査項目として導入した。症例0歳80歳代まで、322名。
TDIIgEは広い年齢層で値が上がっていた。TDIIgE陽性(>0.34IU/mL)者は10.9%であった。さらにTDIIgEが0.1以上の例が28.3%おり、今後感作が進む可能性がある。
TDIIgE値はアトピー性皮膚炎例で上昇、重症例で値が高くなった。イソシアネートIgE値は総IgE値に相関係数0.86で強く相関していた。TDIに対する経皮的な感作が起こっており、TDIは総IgEの上昇、アトピー性皮膚炎の悪化に関与していると考えられる。
また、当院では初診後に強い香料含有製品はやめてもらっているが、長期(1-10年以上)にわたって柔軟仕上げ剤を使っていない例でもTDIIgEは上昇していた。これは柔軟仕上げ剤以外、また自宅外での感作を示唆する。
労災疾病臨床研究事業化学物質特異的IgGのアレルギー診断と曝露モニタリングへの有用性に関する調査-平成26年度報告書の中で、鹿児島県の一般住民(N=191)中TDI IgE 抗体陽性者は0 人で、この時期に一般住民での感作はあまり起きていないと考えられた。
これらの結果から、イソシアネートによる環境汚染は確実に日常生活のなかで広がっており、公共の場所での感作が進んでいると思われた。イソシアネートによる汚染の悪化は健康被害を誘発する可能性があり対策が必要と思われた。