地球は氷河期に突入することをご存じですか?
2015年に英国ノーザンブリア大学のバレンティーナ・ザーコバ教授率いる研究チームの発表によれば、太陽の活動は2030年代に現在の60%にまで減少し、1645年に始まった「ミニ氷河期」(マウンダー極小期)の時代に近い状況になるという。つまり「2030年、世界は氷河期に突入する」というのだ。
いまから約400年前にもミニ氷河期があった。1645~1715年は、「マウンダー極小期」とも呼ばれ、太陽の黒点の数が著しく減少した。ザーコバ教授はいう。
「マウンダー極小期には地球の平均気温が1.5度下がりました。今回の寒冷化はその時よりももっと気温を低くさせるでしょう」
当時、その影響は甚大だった。欧州では英国・テムズ川やオランダの運河が凍りつき、日本でも同時期に寛永の大飢饉(1642~1643年)、延宝の飢饉(1674~1675年)、天和の飢饉(1682~1683年)、そして元禄の飢饉(1691~1695年)と、立て続けに大飢饉が起きている。
https://www.news-postseven.com/archives/20170131_488511.html?DETAIL
「ミニ氷河期とはいえ、本格化すれば北海道まで氷河が押し寄せ、アメリカは五大湖まで氷に覆われる。欧州も壊滅的です。穀倉地帯の大部分で収穫が不可能になり、食糧危機は必至です」(理化学研究所・戎崎俊一主任研究員)
『日本列島SOS』(小学館)の著者で、元NASA上級研究員の桜井邦朋博士はこうシミュレーションする。
「世界の穀倉地帯や漁場が変動する影響で、世界人口80億人のうち、約20億人が飢餓と病気で死亡する危険性があります。とくに日本のように食料自給率が低い国はその影響を強く受け、国家存立さえ危うくなるかもしれません。
1665年の欧州でのペスト流行も、寒さのためにネズミのエサがなくなり、人里に下りてきたため感染が広がったといわれている。食糧を巡る戦争、紛争も多発するでしょう」
広島大学大学院生物圏科学研究科の長沼毅教授がいう。
「一番怖いのはミニ氷河期がトリガーとなって、氷期に突入してしまうことです。食糧難に加えて、エネルギーが閉ざされる。さらに池や川があまねく凍るので、水不足が深刻になる。私は温暖化対策ではなく、来る氷期に備えた省エネ社会を作ることこそ急務だと思います」
https://www.news-postseven.com/archives/20170131_488511.html?DETAIL
それが2030年と言われています。
もはや寒冷期に入ってる?
寒冷で異常気象が頻発した小氷河期(1300-1917)以降は太陽活動が活発化し温暖化しましたが、1950年頃からは再び低温化傾向が始まりました。人工衛星による北極海氷観測が始まった1979年より以前の1960年代は、太陽活動が低調で「氷河期が来る」と騒がれたほどの寒冷期でした。次図が示すように、当時の北極海氷面積は拡大傾向にあり、「北極海の船の航行を妨げる海氷をどうやって融解させるか」が国際会議で真剣に議論され、原子力の利用さえ検討されていた程です。
https://ieei.or.jp/2021/06/expl210607/
また気象庁の「桜の開花予想」を1951年に開始し、俳句の「季語辞典」を編纂した大後美保(1910-2000)は、「農業と科学」誌の昭和50年(1975)1月1日号に発表した「最近の世界の異常気象と農業」という論文で1960-1980年の異常気象の状況について詳述し、ソ連の気象学者ゼルゼフスキーとチャブリギナによる偏西風の挙動を紹介しています。
https://ieei.or.jp/2021/06/expl210607/
これによると大正6年(1917)以前の小氷河期では、偏西風は南北流(meridional flow)が多く異常気象が起き易かったのに対して、大正7年(1918)から昭和27年(1952)の期間の偏西風は東西流(zonal flow)が主体で安定した温暖期でした。ところがそれ以降、再び南北流が多い寒冷期になり1960-1980年の異常気象が起きました注3)。
温暖化はただの気候変動
太陽活動の活発化と太平洋数10年振動(PDO)指数がマイナスからプラスに転じたことで、1977年に「汎太平洋気候シフト」が起きました。それ以降の1980-1990年代は温暖化が進行して暖冬が続いたので、CO2温暖化説を信奉する学者たちによる次のような温暖化予測がメデイアを賑わせました。●CO2温暖化で雪が降らなくなり、冬季オリンピックは開催できなくなる●雪を見たことの無い子供たちになる●現在よりも夏が1か月長くなる●東京で最高気温は40℃を超え、真夏日が連続して50日以上も続き、熱中症による死者が6500人に達する●猛暑が10月中旬まで続き、京都の紅葉の見頃はクリスマスの時期になる●夏場は北極海氷が無くなり、シロクマ君が絶滅する
ところが、2000年を過ぎると次のように寒冷化の兆候が現れ始めました。
2001年01月 シベリアに過去100年で初めての大寒波、氷点下60℃記録
2001年01月 モンゴルで大雪、基幹産業の牧畜業に壊滅的打撃
2002年08月 欧州中部で水害、チェコのヴルタヴ川が112年ぶりの大洪水
2002年12月 青森で12/11に観測史上最高の1日降雪量67cmを記録
2003年01月 モスクワ20年ぶりの厳寒、東広島市で史上最低の氷点下11.8℃
2003年01月 インド北部、バングラデイッシュなどで大寒波、900人以上凍死
2003年02月 米国東海岸で大雪、ワシントン市周辺で30cmの記録的積雪
2003年03月 米国五大湖で1979年以来の低温によりスペリオル湖凍結更に、気象庁が暖冬を予想していた2005/2006年冬に急激な太陽活動低下で「平成18年豪雪」が発生し、それ以降、下記のように異常気象が起きています。
2006年冬 日本、欧州で大寒波
2010年冬 米国・欧州で大雪
2010年夏 日露で熱波 パキスタン、インド、中国で洪水、ブラジルで大寒波
2012年夏 米国で熱波、中国、欧州で洪水
2013年夏 日本で熱波
2014年冬 日本、米国東部で大寒波
2014年夏 日本、米中西部、東南アジアで洪水、米加州で干ばつ
2015年冬 日本、米国東部で大雪
2016年 仏独で洪水
2017年冬 欧州・ロシア・中東で大雪
2017年夏 欧州・ロシア・米アリゾナ州で熱波
2018年冬 北米・欧州・中国・日本・中東で大寒波
2019年冬 米国北部と東部で大寒波
2021年冬 米国南部を襲ったテキサス大寒波2021年2月のテキサス大寒波について、独ポツダム気候影響研究所のS.ラームシュトルフは、「CO2温暖化で北極の極渦が弱くなり分裂して米大陸に流れ込んだのが原因である」とCO2温暖化が第1原因とする説明をしています注4)。
https://ieei.or.jp/2021/06/expl210607/
しかしながら、前述したJ.ダグラスやV.ブッカの考えによれば、上記の異常気象やテキサス大寒波は「2006年以降の太陽活動低下による新寒冷期の証拠の可能性がある」と考えられます。
今回の内容はこれで以上になります。
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